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ほんの面白い話

    米原万理さんのエッセーに面白い話があった。

   ( 小噺風に脚色したことを許して下さい。 天国の万理さんへ、)

   何軒か居酒屋が並んでいる、その前がちょっとした広場になっていて

   そこに古ぼけたベンチが2つ3つある。

   いつの頃からか、そのベンチの1つに風変わりな老人がポツリとひとり

   釣り竿を持って座り続けている。

   なんとピンと張られた釣り糸は潅木の茂みに投げ込まれていた。

   おそらく気がふれているのだろうとも思えるが、若い頃はそれなりの

   仕事をしてきたのであろう魅力的な風貌をしている。

   ある男が気になって声を掛けた。

      「そこでなにをしておられるんですか」

      「みりゃあ分かるでしょう、魚を釣ってまさぁ」

      「ほう、魚をねえ」

   その男はなんだかその老人のことをもっと知りたくなり

      「よろしければ、そこの居酒屋で一杯やりませんか」

      と、老人を誘った。

      「そりゃどうも」

   老人は釣り竿をたたむと、いそいそと男の後について

   居酒屋に入っていった。

   老人は注がれるままに旨そうに酒を呑む。

   男は善行を施している満足感と多少の気恥ずかしさを覚えながら

   老人に尋ねた。

      「おじいさん、先ほど魚を釣っているっておっしゃっていましたね、

      それで、今日はどれくらい釣れたんですか」

   老人はいかにも幸せに満ちた表情で呟いた。

      「今日は、あんたで 3人目だよ」     

   

   

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